怒ると耳鳴りは、起こるのか?

 耳鳴り、難聴は、鍼灸の施術の中でも、難治とされる疾患の一つです。原因も分からず、加齢によるものと診断される場合もあります。

 画一化されたマニュアル通りの診察と聞くであろうと思われる薬の処方では、間違ってはいないであろうが、すべての人に100%効くわけでもありません。これは、鍼灸の施術であっても同じで耳の周りに刺せば良いというものでは、ありません。

 めまい、頭痛、肩こりも伴い原因も複雑に絡み合っています。原因の一つの中に感情というものが、大きなウェイトを占める場合があります。

感情の鬱屈のために肝気が条達(のびのびとしていることで肝木の生発の性質を指している)を失って肝気鬱結し、耳鳴り、難聴を引き起こすと考えます。

 感情の鬱屈、突発的な怒りの後に聞こえなくなるというものです。肝鬱気滞と言い、気の滞りが原因で耳鳴り、難聴を引き起こします。

 問診の際、聞き取りにくい状態の患者さんが、合谷、太衝に置鍼しただけで、BGMが聞こえるようになったり、普通の声で会話ができるようになります。

 耳鳴り、難聴がすべて肝鬱気滞が原因で合谷、太衝だけ施術すれば、良くなるというものではなく、患者さんがどのような精神状態なのかを診ることが重要だと思います。

 短気なのか心配性なのか、神経質なのか注意深く診てあげることが、東洋医学に携わる医療の人の仕事なのではないかと思います。

2019年07月28日